この記事では、
結婚式を「やってよかった」と心の底から思える一日の価値について、
現役ブライダル司会者としての現場体験をもとに解説します。
多くの新郎新婦が準備の段階では想像しにくい、
式当日に感じる感情や気づきを、具体例を通して紹介し、
その価値を理解しながら準備を進める視点もお伝えします。
こんにちは。
結婚式のイロハをお伝えする
ブライダルMCの いろは です。
「結婚式をやってよかった」
この言葉は、
結婚式直後に、ほとんど毎回
新郎新婦から聞く言葉です。
今日はこの言葉の意味を
一緒に考えてみようと思います。
結婚式をするということ
どんな結婚式にしようかと考える時間は、
ゲストにどんな気持ちで過ごしてほしいか、
親に喜んでもらえるだろうか、
夫のために、妻のために、
そして自分たちのために、
どんな一日なら納得できるのか――
そんな基準を探し続ける時間でもあります。
ですが今日は、
「どんな結婚式にするか」ではなく、
「結婚式をすること」そのものの意味について
お話ししたいと思います。
なぜならそれは、
結婚式をやったことのある人にしか
分からないものだからです。
想像することができたとしても、
実際に経験した人が
「知っている」「分かっている」という感覚とは
やはり違います。
結婚式をやった人にしか、
触れることのできない世界がある。
今日は、
その世界を垣間見た実例を
司会者の立場からお伝えします。
実例①:結婚式で号泣するなんて想像もしていなかった新郎
この新郎は、
「結婚式は女性のためのものだから」と、
どこか一歩引いた姿勢で準備に臨んでいました。
打ち合わせでも口癖は、
「妻が良ければ、それでいいです。」
タキシードも、BGMも、演出内容も、
すべて新婦の希望が最優先。
それを叶えることが
自分の役割だと思っているようでした。
ところが結婚式当日。
チャペルの扉が開き、
ウェディングドレス姿の新婦が
ゆっくりと姿を現した瞬間――
新郎は、思いがけず大号泣。
その後の披露宴でも、
新郎の涙腺は緩みっぱなしでした。
結びのご挨拶。
用意されていたカンペを読み進めていた新郎は、
途中で紙を胸元にしまい、
自分の言葉で話し始めました。
「正直、結婚式は妻のためにするものだと思っていました。
でも今は、自分のために、やってよかったと思っています。
今日、自分にはこんなにも味方でいてくれる人がいるんだと
初めて実感しました。
だからこれから先、何があっても、
今日集まってくれた皆さんを大切にしていきます。」
新郎の涙ながらの言葉に
会場は静まり返り、
その後、大きな拍手に包まれました。
この新郎は、
新婦のドレス姿を目にし、
何十人ものゲストの温かい視線に囲まれるという体験を通して、
初めて気づいたのです。
結婚式は、自分のための時間でもあったということに。
それは、やってみたからこそ
知ることができた感覚でした。
実例②:絶縁状態だった家族との節目になった結婚式
新婦には、
10年以上、関係が途絶えていたお兄様がいました。
結婚式への出席も難しいだろう、
そう思われていましたが、
お母様の説得もあり、
前日に出席が決まります。
新婦は私に、
「もし兄が来てくれたら、
中座のエスコートをお願いし、
兄弟3人で歩きたい」
と、そっと打ち明けてくれました。
当日、私はお兄様の様子を
注意深く見ていました。
最初は硬い表情でしたが、
新婦が視界に入ると、
自然と目で追っている。
スタッフの対応にも、
丁寧に応じていらっしゃいました。
そして迎えた中座の時間。
お兄様と弟様が
新婦の両サイドに立った瞬間、
私はこうアナウンスしました。
「幼い頃は当たり前だった3人で過ごす時間も、
今となっては、とても貴重なひとときです。
何があっても、新婦にとって
世界にたった一人のお兄様、
そして唯一無二の弟様です。
たくさんの想い出を胸に、
3兄弟、手をつないでご出発です。」
その瞬間、
3人は声を上げて泣きながら
手を取り合って歩き出しました。
事情を知るご家族、ご親族の席からも、
すすり泣く声が聞こえてきました。
お開き後、
ご家族全員が手をつなぎ、
「仲直りだね」と笑っている姿がありました。
お兄様は私に、
「目の中に入れても痛くない妹なんです」
と、静かに話してくださいました。
新婦は、
「結婚式が、こんな場所になるなんて
想像もしていませんでした」と。
結婚式は、
人の善意が集まる場所です。
その温かいエネルギーに包まれることで、
人は少しだけ素直になれる。
そして時に、
結婚式は“式”という枠を超え、
人生の流れを変える
きっかけになることがあります。
まとめ:結婚式は「その日」以上の意味を持つ
ここまで、
ストーリーのある2つの実例をご紹介しました。
けれど、
大きな出来事が何も起こらなかった結婚式でも、
私は確信を持って言えます。
結婚式には、
目には見えないけれど、
確かに存在する特別なエネルギーがあります。
その不思議なくらいピュアで、
厳かな空気に包まれる体験は、
新郎新婦のこれからの人生において、
「ふと思い出した時に、
もう一度前を向く力になる」
そんな、
何にも代えがたい記憶になります。
結婚式は、
完璧に準備できたかどうかよりも、
やったかどうかでしか
触れられない世界があります。
そして多くの新郎新婦が、
式の後にこう言います。
「結婚式をやって、本当によかった」と。
それはきっと、
その日を通して、
自分たちの人生に
確かな節目を置くことができたからなのだと、
私は思っています。

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